医療統計学 VOL13 v.2 2013



学習項目(シラバスは講義題目と記しています)

 横断研究とコホート



講義内容と学習到達目標


1.EBMに必要な研究デザインの種類と目的が表を見ながら説明できるようになる.


2.RCT研究モデルデータに対してRを使ってオッズ比を求めることができる。


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人間集団に関わる研究を疫学研究という。

正しく、疫学研究を理解しないと、疑似科学にだまされてしまう。
医療従事者も、過去、たくさんの疑似科学に遭遇してきている。

私たちは、不安を少なくするためのひとつの方法として、科学的な確からしさを大切にしながら、また、自然界の一部として、現時点で科学的に考えられないものの大切にすることも大切。

すなわち、一定の疑似科学にだまされない能力を保つことだろう。
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この単元のプレゼンテーションは


>ここ stat13_


Exercise Stat13

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演習に必要なコマンドとデータ

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source("http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/src/odds_ratio.R", encoding="euc-jp")


*******************

odds.ratio(22,10,6,21, correct=TRUE)

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x <-matrix(c(22,10,6,21), byrow=TRUE, nc=2)

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fisher.test(x)

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重要!覚え書き

上のオッズ比を求めるコマンド:odds.ratio(22,10,6,21, correct=TRUE)は、
(  )の中のカンマで示す4つの数字が新規オッズ比を求める場合に
鍵となる。。
第一行第1列が22,第二行第1列が6の場合なので、
新たなデータからなるクロス表上のオッズ比を求めるためには、
以下の様にRのコンソール上で修正するか、コマンドをテキストエディター上で
書き換えて、ペーストして実行(enterを押す)する必要がある。


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読んでおいて欲しいこと


相関関係と因果関係は違う。

原因と結果の関係が強いことを証明するには、コホート研究が必要

用量ー反応関係が認められることが、条件の一つ

バイアスを取り除き、対照をおくこと

一時点の様子を切り取り、静止画のような関係を調べることを横断研究という。

現在時点から未来に向かって研究するものを前向きコホート研究という。


現在時点から過去に向かって研究対象を調べ、その動向を調べるものを後ろ向きコホート研究という。

この後ろ向き研究に中に、ケースコントロール研究というものがある。この研究の結論は過去を統制していない研究であるから、原因ー結果の推定を行う研究と勘違いする人が多いが、この研究で得られた結論は、横断研究の結論とほぼ同じレベルである。

前向きコホート研究において、対象を恣意的ではなく、ランダム(偶然性を最大に生かす、くじなどで決める)に、いくつかの群に分けて(どの群もバラツキが等しいという前提条件をつくるため)観察、実験することをRCT、ランダムコントロールトライアル、無作為抽出試験という。

実験に参加している人の中で、患者も治療者もその治療内容が本物かどうかわからない方法で行うことを盲検化するといいます。
患者だけが知らない場合ーシングルブラインド
患者も治療者も知らない場合ーダブルブラインド
患者も治療者もデータ解析者も知らない場合ートリプルブラインド
といいます。

その信憑性は、隠す(マスクすると言います)ものが多くなれば多くなるほど高く評価されます。

また、偽薬を使うことで、心理的に効果があることが知られています。これを
プラセボ効果と呼びます。
条件群の中にプラセボを入れなければ、この心理的な治療効果と比較することができないことから、
薬の効果を調べる際に必ず実施されていることを覚えておきましょう。

>理学療法の分野では、超音波の臨床試験で初めてダブルブラインド試験が成立し、その効果が認められました。




動画のごとく、時間の経過が示され、条件を持ったものが、持たないものと明らかに異なる変化を示したとき、この条件は結果に影響していると考える。

さらに、その条件がなければ、その結果が起こらないことが証明されれば、この条件は、因果関係の因(原因)になっていると考える。


保健学の研究では、時間の要素を取り込んだ、変化やイベントの発生の有無を調べることが基本的な研究デザインとなる。

実験学的研究では、比較的短期間で再現性が得られるものや、すべての条件を統制し、ランダムに対象を分ける(ランダマイズ)することができることから、長時間で環境や生物的・人間的要因を含んだ条件に暴露させて結果を確かめるような研究デザインとは異なることに注意しよう。
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