理学療法研究入門講座

理学療法学生のための研究方法論:全7回

研究の段階を理解する

学部卒業研究:10を11にする

既存の知識を応用し、確実に一歩前進させる

修士研究:1を10にする

新しい視点で既存の知見を大きく発展させる

博士研究:0から1を作る

独創的な発見で新しい知の地平を開く

講座一覧

第1回:研究とは何か - 研究の段階と目的、研究の流れ

第2回:一般的研究・医療系研究・理学療法研究の違い

第3回:人間の姿勢・動作・活動の研究方法

第4回:身体動作の計測と定量化・定性化

第5回:障害のある人の動作研究

第6回:運動療法の効果研究と開発

第7回:健康維持と身体活動研究 - 地域・公衆衛生・新領域

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第2回:研究分野の違い

一般的研究・医療系研究・理学療法研究

🔬 アイスブレーク:研究者のメガネ

同じ「歩く」という現象でも、物理学者、医師、理学療法士では見方が違います。それぞれどんな視点で見ると思いますか?

物理学者:力学的エネルギー効率
医師:関節の病理学的変化
理学療法士:日常生活での機能的な歩行能力

PECO:臨床研究を整理する枠組み

医療系研究、特に理学療法の臨床研究では、研究疑問を明確にするためにPECOというフレームワークを使います。これは構造化抄録を書く際にも重要な枠組みです。

P - Patient / Population(対象者)

誰を対象とするのか?どんな特徴を持つ集団か?

例:65歳以上の地域在住高齢者、脳卒中後6ヶ月以内の患者

E - Exposure / Intervention(曝露・介入)

何を行うのか?どんな介入や曝露を評価するのか?

例:週3回のバランス訓練、1日30分の歩行練習

C - Comparison(比較)

何と比較するのか?対照群は何か?

例:通常ケア、別の運動プログラム、介入なし

O - Outcome(結果・アウトカム)

何を測定するのか?どんな結果を期待するのか?

例:転倒発生率、バランス能力、歩行速度、QOL

📄 構造化抄録との関係

論文の抄録(アブストラクト)を書く時、PECOの枠組みを使うと内容が明確になります。「Pの対象者に対して、Eの介入を行い、Cと比較した結果、Oがどう変化したか」という構造で研究を説明できます。

💡 PECO使用例

研究疑問:「高齢者の転倒予防にバランス訓練は効果的か?」

  • P:転倒リスクのある65歳以上の地域在住高齢者
  • E:週2回、3ヶ月間のバランス訓練プログラム
  • C:通常の生活(介入なし)
  • O:3ヶ月間の転倒発生率、バランス評価スコア

🎯 理解度チェッククイズ

Q1. 理学療法研究が最も重視することは?

普遍的な法則の発見
新薬の開発
機能的アウトカムと実践への応用
解説:理学療法研究は、患者の機能改善と日常生活への応用を最も重視します。

Q2. PECOのCは何を表す?

Comparison(比較)
Control(統制)
Caution(注意)
解説:PECOのCはComparison(比較)を表し、介入群と比較する対照群のことです。

📝 ミニ演習:PECOで研究を整理しよう

「高齢者の転倒予防にバランス訓練は効果があるか?」という研究疑問をPECOで整理してみましょう。

P: 誰を対象に? E: 何を行うか? C: 何と比較? O: 何を測定?