第1回:内部機能系理学療法治療学概論

🎯 アイスブレイク

質問:あなたが最近、階段を上った時に息切れを感じたことはありますか?それはなぜだと思いますか?

このような日常的な体験から、内部機能系(心臓・肺・代謝)の働きを考えてみましょう。今日の講義では、これらの臓器に障害がある患者さんに対する理学療法について学びます。

1. 内部機能系理学療法とは

内部機能系理学療法は、心臓、呼吸器、代謝系などの内科的疾患を有する患者に対する理学療法の総称です。

対象となる主な疾患

2. 内部障害の疫学

主要疾患の患者数と推移

疾患 推定患者数(日本) 特徴
糖尿病 約1,100万人 高齢化と生活習慣の変化で増加傾向
COPD 約530万人 未診断者が多い(潜在患者多数)
心不全 約120万人 高齢化に伴い急増中
慢性腎臓病 約1,330万人 成人の8人に1人

内科系疾患の合併症をもつリハビリテーション対象患者の特徴

3. 理学療法の治療手段

3-1. 運動療法

内部機能系における運動療法の目的:

3-2. 物理療法

3-3. ADL指導

4. 各疾患に対する治療法の原則

4-1. 心臓疾患

治療原則:

回復理論:運動による心筋の虚血耐性向上、側副血行路の発達

限界:重症心不全、不安定狭心症、重度不整脈では運動制限が必要

薬物療法:β遮断薬、ACE阻害薬、抗血小板薬など

外科手術:冠動脈バイパス術(CABG)、経皮的冠動脈形成術(PCI)、心臓弁膜症手術

4-2. 呼吸器疾患

治療原則:

回復理論:呼吸筋力強化、換気効率改善、末梢筋力向上による酸素利用効率改善

限界:重度の呼吸不全、SpO2<90%での運動制限

薬物療法:気管支拡張薬、吸入ステロイド、去痰薬

外科手術:肺容量減少術、肺移植

4-3. 代謝疾患(糖尿病)

治療原則:

回復理論:インスリン感受性向上、GLUT4増加、体重減少

限界:重度合併症(網膜症、腎症)、血糖コントロール不良時

薬物療法:インスリン、経口血糖降下薬(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬など)

外科手術:肥満手術(胃バイパス術、スリーブ状胃切除術)

4-4. 全身消耗性疾患(がん、サルコペニア)

治療原則:

回復理論:運動による筋蛋白合成促進、炎症性サイトカイン抑制

限界:重度の貧血、発熱、疼痛、血小板減少時

薬物療法:抗がん剤、分子標的薬、栄養補助

外科手術:各種がん切除術

📝 ミニクイズ

問題1:内部機能系理学療法の対象として適切でないものはどれか?
A. 心筋梗塞後の患者
B. COPD患者
C. 骨折後のギプス固定中の患者
D. 糖尿病患者
問題2:心臓リハビリテーションにおいて、運動を中止すべき基準として適切なものはどれか?
A. 心拍数が安静時より20拍/分増加
B. Borg指数13
C. 胸痛の出現
D. 軽度の発汗
問題3:糖尿病患者が運動を中止すべき血糖値はどれか?
A. 100 mg/dL
B. 150 mg/dL
C. 70 mg/dL未満
D. 200 mg/dL

📚 次回予告

第2回:糖尿病の運動療法①