🏥 理学療法等国家試験

糖尿病・運動療法 問題ドリル

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問題 1 第53回 午前93問
糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。
1.食後すぐに運動を開始する。
2.冷汗は高血糖発作の予兆である。
3.インスリン投与中は運動療法を中止する。
4.空腹時血糖値が高いほど運動量を増やす。
5.増殖性網膜症がある場合には運動強度を軽くする。

📚 解説

正解:5

各選択肢の解説:

  • 1. ✗ 食後すぐではなく、食後1〜2時間後に運動を開始します。この時間帯が血糖値のピークとなり、運動による血糖降下効果が最も期待できます。
  • 2. ✗ 冷汗は低血糖発作の予兆です。高血糖では口渇、多飲、多尿などの症状が現れます。
  • 3. ✗ インスリン投与中でも運動療法は可能です。ただし、投与直後の運動は低血糖リスクがあるため注意が必要です。
  • 4. ✗ 空腹時血糖値が250mg/dL以上の場合は運動を禁止・制限すべきです。高血糖時の運動はかえって血糖値を上昇させることがあります。
  • 5. ✓ 正解。増殖性網膜症では眼底出血のリスクが高いため、運動強度を軽くするか、運動を避ける必要があります。

🔑 重要ポイント

  • 運動実施時間:食後1〜2時間
  • 低血糖の症状:冷汗、動悸、振戦、空腹感
  • 運動禁忌:空腹時血糖≧250mg/dL、増殖性網膜症
問題 2 第54回 午後47問
糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。
1.食後すぐに開始する。
2.運動強度はBorg指数17前後で行う。
3.インスリン治療中の患者は禁忌である。
4.尿中ケトン体陽性の場合は有酸素運動を行う。
5.増殖性網膜症がある場合、強い等尺性収縮は推奨されない。

📚 解説

正解:5

各選択肢の解説:

  • 1. ✗ 食後すぐではなく、食後1〜2時間後に開始します。
  • 2. ✗ 運動強度はBorg指数13以下(「ややきつい」程度)が推奨されます。17は「かなりきつい」に相当し、強度が高すぎます。
  • 3. ✗ インスリン治療中でも運動療法は可能です。むしろ、適切な運動はインスリン感受性を改善させます。
  • 4. ✗ 尿中ケトン体陽性は運動療法の絶対的禁忌です。代謝コントロールが極端に悪い状態を示します。
  • 5. ✓ 正解。増殖性網膜症では、強い等尺性収縮(アイソメトリック運動)により血圧が上昇し、眼底出血のリスクが高まるため推奨されません。

🔑 重要ポイント

  • 推奨運動強度:Borg指数11〜13(楽である〜ややきつい)
  • 運動の絶対的禁忌:尿中ケトン体中等度以上陽性
  • 増殖性網膜症:高強度運動・等尺性収縮を避ける
問題 3 第53回 午後11問
52歳の男性。2型糖尿病。足のしびれと血糖値の上昇のため入院となった。
検査結果では空腹時血糖305mg/dL、尿検査でケトン体陽性であった。
虚血性心疾患と腎機能障害は認めない。

この患者への対応で正しいのはどれか。
症例情報:
  • 空腹時血糖:305mg/dL(基準値:70〜109mg/dL)
  • 尿ケトン体:陽性
  • 合併症:虚血性心疾患なし、腎機能障害なし
1.直ちに運動療法を開始する。
2.血糖コントロールを優先する。
3.高強度の運動を実施する。
4.空腹時に運動を行う。
5.長時間の連続運動を実施する。

📚 解説

正解:2

病態の評価:

本症例は以下の理由から運動療法の絶対的禁忌に該当します:

  • 空腹時血糖値305mg/dL(≧250mg/dLは運動禁忌)
  • 尿ケトン体陽性(代謝コントロール不良)

対応の優先順位:

  1. まず血糖コントロールを優先(食事療法・薬物療法)
  2. 代謝状態が安定してから運動療法を検討
  3. 目標:空腹時血糖<250mg/dL、ケトン体陰性

🔑 運動療法の絶対的禁忌

  • 空腹時血糖≧250mg/dL
  • 尿ケトン体中等度以上陽性
  • 増殖性網膜症・増殖前網膜症
  • 顕性腎症後期以降(Cr:男性≧2.5、女性≧2.0mg/dL)
  • 重篤な心血管系障害
  • 高度の糖尿病自律神経障害
問題 4 糖尿病性合併症
糖尿病の三大合併症(細小血管障害)はどれか。3つ選べ。
1.糖尿病性神経障害
2.糖尿病網膜症
3.糖尿病性腎症
4.心筋梗塞
5.脳梗塞

📚 解説

正解:1, 2, 3

糖尿病の三大合併症(「しめじ」で覚える):

  • 「し」神経障害
    • 最も早期に出現(3〜5年)
    • 左右対称性の感覚障害(手袋・靴下型)
    • 足のしびれ、痛み、知覚鈍麻
    • 自律神経障害:起立性低血圧、発汗異常など
  • 「め」網膜症
    • 発症:7〜10年
    • 日本における失明原因の第3位
    • 単純→増殖前→増殖網膜症と進行
    • 無症状で進行するため定期的な眼科受診が必須
  • 「じ」腎症
    • 発症:10〜15年
    • 透析導入の原因疾患第1位
    • 微量アルブミン尿→顕性タンパク尿と進行
    • 早期発見のため尿アルブミン検査が重要

選択肢4・5について:

心筋梗塞や脳梗塞は大血管障害(動脈硬化性疾患)であり、三大合併症(細小血管障害)には含まれません。

🔑 出現順序と運動療法への影響

  • 神経障害 → 足病変リスク、フットケア重要
  • 網膜症 → 運動強度制限、高血圧を避ける
  • 腎症 → 進行期は運動禁忌
問題 5 運動療法の実際
糖尿病患者の運動療法について正しいのはどれか。すべて選べ。
1.頻度は週3回以上が推奨される。
2.1回の運動時間は20〜30分程度が目安である。
3.有酸素運動とレジスタンス運動の併用が効果的である。
4.運動強度は最大心拍数の80〜90%が適切である。
5.HbA1cの改善効果が期待できる。

📚 解説

正解:1, 2, 3, 5

糖尿病の運動療法ガイドライン:

  • 1. ✓3回以上、できれば毎日実施が推奨されます。連続して2日以上運動しない日を作らないことが重要です。
  • 2. ✓ 1回20〜30分以上の運動が推奨されます。週合計で150分以上を目標とします。
  • 3. ✓ 有酸素運動(ウォーキング、水泳など)とレジスタンス運動(筋力トレーニング)の併用により、より高い血糖改善効果が得られます。
  • 4. ✗ 運動強度は最大心拍数の50〜70%(中等度)が適切です。80〜90%は高強度すぎます。Borg指数では11〜13(楽である〜ややきつい)が目安です。
  • 5. ✓ 適切な運動療法によりHbA1cは0.5〜0.7%程度改善することが報告されています。

🔑 運動療法の具体的指針

  • 頻度:週3回以上(できれば毎日)
  • 時間:1回20〜30分以上
  • 強度:中等度(最大心拍数の50〜70%、Borg指数11〜13)
  • 時間帯:食後1〜2時間後
  • 種類:有酸素運動+レジスタンス運動
  • 効果:HbA1c改善、インスリン感受性向上、心血管リスク低減