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臨床試験の公開  2017年-2019年   (科学研究助成費を受けて実施する研究)

研究名 失明者の移動時の危険回避動作を促す通電アラートの複合評価


研究代表者 木村 朗

(問い合わせ先 群馬パース大学木村朗研究室 a-kimuraアットマークpaz.ac.jp)

研究概要

国土交通省によると、駅のプラットホーム転落事故が平成 26 年度で は 93 件報告され、死亡に至る事故発生件数はこの間 7 件以上発生し、年々増加している。

この予防は リハビリテーション看護・リハビリテーション医療が果たすべき喫緊の課題の一つ本研究の目的は、社会的な課題となっている、失明者の駅プラットホーム転落事故の類を回避するために、新たなアラート(警告)技術の導入を試みる。同時に、単に有効性を量的に確認するだけなく、ユーザー満足度を高める看護・リハビリ評価を行うことである。

失明者では動作中に不測の物理的外乱刺激が加わった場合、空間定位の再獲得、修正 までの時間内に、事故が生じる可能性がある。失明者の駅プラットホーム転落事故の誘因の一つには、 学習されたルーチンで対応できないほどの外乱刺激が加わった場合、精神的な緊張が著しく高まり、 アラート音の認知過程の惹起には時間的限界があり、とっさの動作ができなくなると考えられる。

 

そこで、我々は、これまで失明者が利用してきた音や触覚に代わる、第三の情報伝達手段として、 通電感覚および筋収縮をアラートにする開発を進め、2016 年市販のセンサーデバイスと IoT 処理アプ リケーションソフト(MESH)を用いて、実際に 0.5 秒以内に入出力が完了するシステムを試作した。生体機能に直接働きかける加速度感知・ 人感センサー起動型機能的電気刺激アラート装置(通電アラート)が失明者の危険の認識前に、危険 地点から重心を移させる性能の検証とユーザビリティを評価する。

研究開始から 1 年以内で、失明者における実験室環境、模擬プラットホームにおいて、騒音、 障害物、人的接触、風圧、降雨などの空間定位への外乱刺激下で、歩行動作を行わせ、危険回避 位置に回避しうるアラートの至適条件を見つける。この時に与えるアラートには、新しいコンセ プトによるアラートシステムである加速度感知・人感センサー起動型機能的電気刺激アラートに 対し、従来型の音の発信の種類・位置(方向)・強弱・指向性が及ぼす危険回避動作の惹起の有無 および自律神経機能への影響との差異を明らかにする。体験者の感想を聞き取り評価する。この方法による視覚障害者の 危険回避ツールとして、リハビリテーション看護・リハビリテーション医療技術上の評価を示す。